個人再生では異議留保を忘れずに!異議留保の意味とメリット
個人再生手続は、裁判所への申立てにより、借金を法律で定める額まで減額し、それを3年から最長5年で支払う債務整理の手続になります。
裁判所の手続になるため、いくつかの資料を作成しなければなりません。
その中の一つに債権者一覧表があります。
この債権者一覧表には、債権者の名前、借入れの金額や契約の内容等を記載します。
この時、債権者一覧表にある「異議留保」を「有」にしておかないと、個人再生手続上で大きな不利益を被る可能性があります。
ここでは個人再生手続きの異議留保をする意味やメリットについて簡単に説明いたします。
1.債権者一覧表の記載事項
個人再生手続を申立する際、「債権者一覧表」は必ず作成し裁判所へ提出する必要があります。
また、任意整理と違い、個人再生手続は、債権者を選んで手続きをすることはできないため、債権者一覧表には、必ずすべての債権者を記載しなければなりません。
記載する内容は、債権者の「氏名」、「住所」、「債権額」、「債権の発生原因(借入金か立替金等)」そして、「異議留保の有無」になります。
この債権者一覧表は申立する側が作成する資料であり、個人再生の裁判が開始すると、債権者一覧表に記載されている債権者の元に裁判所から送られることになります。
そして、各債権者は債権一覧に記載された金額に誤りが無いかを確認することになります。
そのため、債権をしっかりと調査しないと、後々債権者と金額について争いが生じてしまう可能性があることに注意してください。
2.債権者からの債権届出
債権者一覧表に記載された金額に納得しない債権者は、「債権届出」を「裁判所」に提出することになります。
債権者は支払いが停止してから裁判開始の前日までの利息や損害金は主張することができますので、多くの債権者はこの主張をしてくることが多いです。
また、債権の調査を怠った場合、金額がそもそも違うと主張されてしまうこともあるかもしれません。
このように申立する側が金額を主張する資料が債権一覧表であり、債権者側が金額を主張する資料が債権届出書になります。
申立側は債権者一覧表によって、債権者側は債権届出書によって互いの金額の主張が裁判所に提出されます。
では、互いの主張が異なる場合、裁判所はどのように金額を決めることになるのでしょうか。
3.異議申述期間
債権者からの債権届出については期限が決められています。
その期限までに提出をしなかった債権者は申立人側の主張額、つまりは債権一覧に記載した金額を認めたこととみなされます。
そして、期限内に届出があったものについては、裁判所から申立人側へ送られます。
この時、債権者が提出した債権届出書の内容に対して、反論がある場合、申立人側は「異議」を提出することができます。
しかし、この異議が提出できる場合は「債権者一覧表において異議の留保をした場合」のみになります。
つまり、債権者一覧表を作成した際、異議の留保を忘れてしまい、そのまま裁判所へ提出してしまうと、債権者が主張した金額に対して反論できなくなってしまいます。
よって、異議の留保をしないという事は、債権者の主張金額に対する反論の機会を放棄する意思表示になってしまうのです。
そのため、債権者一覧表を作成する際は必ず異議の留保をしなければなりません。
もっとも、すでに争いの無い場合には異議の留保が無でも問題は無いと思われます。
異議の留保をしていた場合には、債権者の届出に対して反論をすることができます。
そのため債権者の届出に誤りがある場合は、裁判所へ「異議書」を提出し、債権者の届出金額が誤っていることを主張します。
4.評価申立
申立側からの債権一覧による金額の主張に対し、債権者側からも債権届による金額の主張がされ、それに対し申立側が反論した場合、債権者はさらに反論することができるのでしょうか。
また、争いが続く場合、金額はどのように確定するのでしょうか。
まず、申立人側から異議が提出され、それに納得しない債権者は「評価申立」を裁判所にすることができます。簡単に言うと、それはどちらの言い分が正しいか、決定してもらいたいという申立です。
この「評価申立」が債権者からされると、「個人再生委員」が選任され、再生委員が最終的に債権額を決定することになります。
なお、個人再生委員とは、「裁判所が選任する第三者」であり、裁判所はこの再生委員の意見を聞きながら、どちらの申立人側、債権者側、どちらの主張が正しいかを判断し、決定されます。
5.個人再生は泉総合法律事務所調布支店へご相談下さい
個人再生手続は破産手続きと異なり、返済をする手続きになります。そして、その返済する金額は負債の総額が大きくかかわってきます。
そのため、適正な金額を主張しなければ、返済する金額が増えてしまった等、大きな不利益を被る可能性があります。
そのためにも、債権者一覧表を作成する際は必ず異議の留保を「有」としておきましょう。これを怠ると債権者の主張した金額で手続きが進んでしまいます。
そのため、手続きはやはり専門家である弁護士に依頼することが一番でしょう。
泉総合事務所には、個人再生手続の経験豊富な弁護士が多数在籍しています。個人再生は、ぜひ解決実績が豊富な泉総合法律事務所調布支店へご相談下さい。
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