調布市における痴漢事件と弁護士による刑事弁護
「高校教諭が電車で痴漢、書類送検される」、「自衛隊の男性が路上で痴漢、現行犯逮捕される」、など痴漢に関するニュースは後を絶ちません。
ではこのような犯罪を犯してしまった場合、少しでもその罪を軽くするために、どのような活動を行うべきなのでしょうか。
また、弁護士を付けるとどのようなメリットがあるのでしょうか。
このコラムの目次
1.痴漢を規定する法律
まずは、痴漢を規定する法律を見ていきましょう。
痴漢において適用される法律は、基本的に各都道府県が制定している迷惑防止条例違反と、刑法の強制わいせつ罪の2つです。
(1) 迷惑防止条例
「条例」という通り、これは各都道府県が制定している規定ですので、都道府県によってその文言や刑罰などは微妙に異なってきます。
ここでは東京都の迷惑防止条例を紹介します。
東京都の迷惑防止条例は、正式には「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」と言います。
このなかでは、「衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること」を痴漢として処罰の対象としており、その法定刑は6月以下の懲役又は50万円以下の罰金(常習の場合には1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)と規定しています。
(2) 強制わいせつ罪
「暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者」は、「6月以上10年以下の懲役に処する」と規定されています。
強制わいせつ罪には罰金罪は規定されておらず、懲役刑も迷惑防止条例よりも重く定められていることがわかるかと思います。
(3) 両罪の違い
実務上は、過去の裁判例なども踏まえ、「下着の中に手を入れたかどうか」でどちらの罪に該当するかが分かれる、と理解されています。
下着の中に手を入れた場合には強制わいせつ罪、それ以外が迷惑防止条例違反となります。
(4) 強制わいせつ罪の改正
ニュースなどでご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、日本の刑法は最近改正され、性犯罪に関する規定が大きく変更されました。平成29年7月19日から施行されています。
具体例を見ると、改正前における強姦罪が、その被害者の対象や処罰対象の行為が拡大され、名称も「強制性交等罪」と変わりました。
この改正は強制わいせつ罪にも及んでおり、内容自体はほぼ変更はありませんが、改正前では親告罪であったのが、改正後では非親告罪となっています。
親告罪というのは、被害者が被疑者に対して処罰を与えたいという意思を示していないと、捜査機関はその被疑者に罰金を科したり裁判にかけることができない、という規定です。
被害者が被疑者に対して処罰を与えたいという意思を示すことを、「告訴」といいます。
つまり、痴漢のうち強制わいせつ罪に該当する被疑者は、改正前の場合は被害者との示談が成立して告訴の取り下げまで獲得できていれば不起訴以外ありえませんでした。
しかし、改正後の刑法では、告訴の取り下げがあっても罰金処分になったり裁判にかけられてしまう可能性があることになりました。
2.弁護活動
では、痴漢の罪で捜査を受ける立場になってしまった被疑者に対し、弁護士(刑事手続きにおいては「刑事弁護人」と言います)はどのような活動を行うのでしょうか。
このような弁護士は、刑事手続きにおいては「刑事弁護人」と言います。
(1) 示談活動
その答えは、被害者との示談活動にほぼ尽きるといっても過言ではありません。
現在、痴漢を含めた性犯罪については、前述のとおり刑法の改正がなされたこともありますが、検察官の処分は厳罰化の兆候があります。
その中でも、検察官や裁判官が被疑者の処分・量刑を決めるうえで最も重視している点は、やはり被害者との示談の状況です。
被害者がその被害回復の一環として慰謝料を受け取っていたり、さらに進んで被疑者のことを許していれば、やはり被疑者の処分・量刑は軽くなります。
とはいえ、被害者から見れば、たとえ被疑者の側に示談の意思があり、被害者自身としてもそれを受ける意思があったとしても、直接被疑者に連絡先を教えたりすることは、まず間違いなく拒否するでしょう。
そこで、いわば第三者的であり、被疑者に対してでも守秘義務を負っている弁護士という立場が間に入り、示談交渉を行うということが必須になります。
当法律事務所にご依頼に来る相談者の中には、「示談したいのであれば早急に弁護士を付けてください」と、警察官や検察官から言われてきました、という方も多々いらっしゃいます。
また、痴漢の被害者は、精神的なダメージを負ってしまっている方や、大きな怒りを抱えている方が多く、その示談活動は慎重かつ繊細に行わなければなりません。
被害者が未成年の場合、その親御さんと示談交渉をすることになるのですが、やはりこのような場合には大きな怒りを抱えて示談交渉の場にいらっしゃることは多いです。
そのような中でもきちんと被害者の方とコミュニケーションをとり、示談の話を進める為には経験と人間力が必要であり、適切な弁護士を選ぶことがどれほど大事かということが分かるかと思います。
実際に、何度も電話をしたり直接お会いしたりすることで誠意を示し、最終的には示談に応じてもらうことが出来たケースもあります。
(2) その他
その他の弁護活動としては、たとえば被疑者の親族などから適切な監督があることを検察官や裁判官にアピールをしたり、常習性のある被疑者には、性犯罪の専門のメンタルクリニックなどでのカウンセリングを受けたりしてもらうなど、再犯可能性を少しでも下げる活動を行います。
3.痴漢事件の弁護は泉総合法律事務所調布支店へ
検察官が出す処分としては、不起訴・略式罰金・公判請求の3つがあります。
不起訴というのは今回に限りお咎めなしとすること、略式罰金とは正式な裁判はしないが罰金は支払って終了という手続き、公判請求というのは刑事ドラマなどでも見るような裁判を受けることになるというものです。
不起訴以外は前科が残ってしまいますので、不起訴の可能性を少しでも高くするために、少しでも早く弁護士を入れることが重要になることは言うまでもないでしょう。
ただし、示談ができれば必ず不起訴になるというわけではありません。
犯罪の手口や前科などから異なってくることには注意が必要です。
調布市、三鷹市、府中市、稲城市、狛江市、川崎市多摩区、京王線沿線にお住まい、お勤めの方で、痴漢事件の被疑者となってしまった方は、お早めに泉総合法律事務所の調布支店にご相談・ご依頼ください。
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