任意整理・個人再生と比較!自己破産の経済的なメリット
「自己破産」はいわゆる「破産」と呼ばれることで知られる債務整理の手続です。自己破産は、債務整理の「王道」と呼ばれることもあります。
王道と呼ばれる理由は諸説あると思われます。破産によっても、公租公課(税金や社会保険料)や、養育費などの「非免責債権」と呼ばれるお金は支払う必要があります。
しかし、債務者の視点からして最も大きいメリットは、「借金を全く返さなくて良くなる」という点だといえます。
ここではこれを他の債務整理手続と比較して見てみます。
1.任意整理、個人再生との比較
債務整理の中には、自己破産の他に、「任意整理」や「個人再生」といった手続もあります。
このうち、任意整理は、現在の債務残高を、分割して支払っていかなければならないのが原則です。
また、個人再生は、現在の債務残高を圧縮して、やはり同様に分割支払いしていくことになります。
いずれの手続でも、資力に応じ、原則的形態である3年から最長5年の分割払いが相場になります。
任意整理も個人再生も、債務を分割して支払っていく手続なのです。
2.自己破産の場合
他方で、自己破産の場合は、返済義務が免除されます。卑近な言葉でいえば「チャラ」になる手続です。
この借金を返さなくて良い状態を「免責」と呼びます。
自己破産の場合、任意整理や個人再生と異なり、債権者に対する分割支払いはしなくて良いことになります。
3.具体例
例えば、500万円の借金で苦しんでいる場合を考えてみます。
任意整理の3年間の分割払い(36か月払い)の場合、500万÷36=約13万9000円を、毎月支払っていくことになります。
次に、個人再生の場合を考えてみます。
まず、借金500万円が100万円にまで圧縮されます。
そして、債務者の資産がこの100万円を超えなかった場合、36回払いでは、100万÷36=約2万8000円を毎月支払うことになります。
最後に、自己破産の場合を考えてみます。
自己破産の場合は、借金が0になるので、債権者に対して支払うお金はありません。
任意整理や個人再生は、弁護士による手続が終了した後も、債権者に分割返済が3年~5年程度続きます。
しかし、自己破産の場合には、分割返済がないのです。
4.弁護士費用
任意整理、個人再生、自己破産のいずれであっても、債権者に対する支払いとは別に、弁護士費用は必要になります。
弁護士費用が一括で用意できない場合、分割で積み立てる必要があります。
その積み立てが終わり、弁護士に依頼した債務整理手続が終了したあとも、任意整理や個人再生の場合では、債権者に対する支払いが必要になります。
しかし、自己破産の場合には、そのような債権者に対する支払いは不要です。
「免責」すなわち、借金を返さなくて良い状態になるからです。
5.常識と正論
少し話が戻りますが、任意整理や個人再生を弁護士に依頼した場合、債権者に対し、毎月の返済が3年は続くことになります。
これは、「借りたお金は返すべき」という素朴な「常識」をもって考えれば、一切の借金を支払わないという選択よりも、常識的なものと言えます。
他方で、この「常識」とは反しますが、「深く反省し、もう二度と借金を膨らませるようなことはしない」と考えるのであれば、一度借金をまるっきり綺麗にすることも取りうる選択肢です。
破産は、法律上の制度であり、誰しもが借金問題を抱えうる以上、誰しもが利用できる手段です。
もう返せない、苦しい状況にあって、なお「借りたお金は返すべき」という常識が正論となって多重債務者に振りかざされるとき、債務者は心理的に大変な苦境に立たされます。
6.金融のビジネスモデル
しかし、実際のところ、銀行や貸金業者は、企業としては、顧客の破産を幾度も経験しています。
逆説的ですが、金融機関は、契約者が破産するリスクは見越した上で貸付けを行っているのです。
もちろん、破産せず、契約者と業者とがwin-winの関係にあることが望ましいことは言うまでもありません。
7.自己破産は泉総合法律事務所調布支店へご相談下さい
以上のように、自己破産は、任意整理や個人再生と比較して、債務者の経済的なメリットが一番大きくなります。
任意整理や個人再生を考えられている方も、後々の負担を考えるのであれば、二度と借金を膨らませないと誓った上で、自己破産を選択することを考えられてよいでしょう。
自己破産をはじめとする債務整理につきましては、泉総合法律事務所調布支店へご相談下さい。
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