自己破産をすると解雇される?
借金が返せなくなったとき、自己破産をすれば借金を返さなくて良くなるという話を聞きます。
しかし、自己破産にはさまざまな噂があり、怖いイメージを持っている方もいることしょう。
特に自己破産で職場を解雇されたらどうしよう?と不安に思っている方は多いと思います。借金督促から解放されても、仕事に影響がでるとしたら一大事です。
自己破産をすると会社にバレてしまうのでしょうか?また、自己破産が発覚したら職場を解雇されてしまうのでしょうか?
このコラムの目次
1.自己破産とは?
自己破産と雇用の関係をお伝えする前に、自己破産について簡単に解説をします。
(1) 借金を全額免除する代わりに財産が処分される
自己破産とは、借金を全額免除する制度です。
自己破産は債務整理の一種で、その他に任意整理、個人再生があります。3つの制度で借金が全額免除になるのは自己破産だけです。
自己破産は借金が全額免除になる代わりに、財産は処分されます。処分対象となるのは資産価値20万円以上の財産で、破産管財人によって没収・換価された後に債権者に平等に配当されます。
(2) 自己破産をすると一定のデメリットはある
自己破産をすると借金は全額免除になりますが、信用情報機関に金融事故情報が登録されます。
いわゆるブラックリストに載ることになり、以後5~10年は新たに借り入れをすることはできません。クレジットカードを持つこともできなくなります。
また、引っ越しに制限がかかるケースがあり、破産手続き中に引っ越しをする場合は、裁判所の許可が必要になります。引っ越しだけでなく長期旅行、海外旅行なども同様に破産手続き中は制限ありです。
引っ越しや旅行に制限がかかるのは財産隠しや逃亡などを防ぎ、また必要に応じて裁判所や債権者にすぐに説明ができるようにするためです。よって破産手続きが終了すれば制限はなくなります。
破産手続き中に長期旅行や海外旅行はいかがなものですが、年末年始に帰省する、転勤で引っ越す、仕事で泊りの国内出張や短期間の海外出張をするということであれば、裁判所は許可するのが一般的です。
自己破産には管財事件と同時廃止があり、後者の同時廃止事件は破産手続開始決定と同時に手続は終了するので、引っ越し制限はありません。自己破産の9割は同時廃止と言われており、引っ越し制限を受ける人は全体の中でもレアケースです。
(3) 解雇というデメリットは存在しない
自己破産をするとさまざまなデメリットがありますが、職場を解雇されるというデメリットはありません。
その点は安心をして良いのですが、中には一定期間だけ従事できなくなる仕事があるので、その点は要注意です。
2.自己破産による資格制限
自己破産をしても解雇をされることはありませんが、自己破産には「資格制限」があります。
この資格制限はどのようなものでしょうか?
(1) 手続き中、一部の資格に制限がかかる
自己破産をすると、手続き中は一部の資格や職業に制限がかかります。
資格制限を受けるのは主にお金や資産を扱う仕事で、弁護士や公認会計士、司法書士、宅地建物取引士などの一部士業、公務員の委員や委員長、警備員や旅行業者、生命保険募集人をはじめとする一部の職種も制限を受けます。
(2) 自己破産手続きが終われば復権可能
自己破産による資格制限は一生かかるものではなく、破産手続開始決定から免責許可決定の期間です。免責許可決定後は資格制限が解除されるので復権します。
破産手続開始決定から免責許可決定まではおよそ3~6ヶ月ですので、資格制限を受けるのはその間だけです。免責許可決定があれば自動的に復権するので、特別な手続きは必要ありません。
ちなみに免責不許可になった場合は、破産手続開始決定から10年間は資格制限が解除されないので注意が必要です。
しかし免責不許可事由があっても、一回目の自己破産であれば大抵は裁判所による裁量免責を受けられるので、大半の人は資格制限を受けるのは数か月です。
(3) 制限対象の職業の場合の対応
資格制限を受ける職業に従事している場合は、自己破産をすることを会社に正直に申告して、休職をするか別部署に異動をさせてもらうことも選択肢に入ります。
自己破産することを会社に内緒にしておいて、それが後から会社にバレてしまった時こそ、解雇されるリスクがあります。会社には正直に申告した方がよいでしょう。
資格制限を受ける仕事に就いていて、どうしても会社の人にバレたくない場合は、自己破産以外の方法で借金を整理することも考えましょう。
3.自己破産は会社にバレる?
(1) 会社から借金をしていない限りバレる可能性は低い
結論から言えば、自己破産をしても基本的に会社にはバレません。
自己破産をすると官報に氏名、住所など情報は載りますが、官報情報を日常的に目にしている人は限られますので、官報からバレることはさほど心配する必要はないでしょう。
職場に確実にバレるのは会社から借金をしている場合です。会社から借金をしていると会社が債権者になり、自己破産で弁護士から受任通知が送付されますので100%バレるでしょう。
自己破産は債権者平等の原則があるので、会社の借金だけ整理対象から外すことはできず、他の借金と同様に扱われるので、会社にも漏れなく通知が行ってしまうのです。
(2) 債権者に勤務先が知れていると会社にバレる可能性がある
自己破産の手続きを進めても、債権者が裁判を起こすことまでは止められません。借金をしているのは事実ですので、裁判を起こされたら敗訴判決で負けてしまいます。
債権者に勤務先が知れていると給与を差し押さえられる可能性があります。
債権者が給与を差し押さえるだけでは自己破産をしたことは会社にバレないのですが(借金があることは会社にバレてしまいます)、自己破産開始決定によって差し押さえ解除の手続きをとりますので、その時には自己破産したことが会社にバレてしまいます。
とはいえ、自己破産の手続きを進めたからといって、即裁判・即差し押さえではありません。ある程度の時間稼ぎは可能なので、どのような対策をしたらよいか弁護士に相談すると良いでしょう。
(3) 自己破産が会社にバレた場合、解雇されるのか?
しかし、自己破産を理由に懲戒免職や解雇をするのは不当解雇に当たるので、職場を追われる心配はありません。
とはいえ、自己破産をしたことが何らかのきっかけで会社に知られると、その噂が広まることで居づらくなってしまうことはあります。
また、会社から借金をしている場合は免責により会社に迷惑をかけてしまうので、そのことが理由で立場が悪くなることもあるでしょう。
実際に自己破産が知られたことを苦にして自己退職をする人もいます。解雇はされなくても、何らかの影響がでる可能性はあります。
4.自己破産の不安は弁護士へ相談を
自己破産をしても職場を解雇されることはありません。資格制限を受ける職業だったり、職場から借金をしていたり、債権者に勤務先が知れており給与を差し押さえらたということでもなければ、自己破産を知られることもないでしょう。
しかし、中には職場にバレてしまうケースもあります。自己破産が分かるとクビにはならなくても会社に居づらくなることはあります。
もし、自己破産で不安なことがあれば一刻も早く弁護士にご相談ください。
早めに対処をすれば、自己破産以外の選択をできるかもしれません。また、自己破産するとしても極力仕事に影響がないようにアドバイスすることもできます。
泉総合法律事務所調布支店は自己破産の解決事例が豊富にございます。自己破産をするときは不安も大きいかと思いますが、お客様に寄り添いながら最善の解決策を提案させて頂きます。
自己破産のご相談は何度でも無料です。どうぞお気軽にご相談ください。
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