調布市の交通事故で怪我をした場合の治療の注意点
交通事故の被害に遭って怪我をした場合、病院(整形外科)で治療を受けることになると思います。
交通事故の被害に遭った場合、相手方に請求できる損害賠償の項目には様々なものがあります。
その中でもメジャーとなる「慰謝料」とは、怪我をして入通院したことへの精神的苦痛に対する慰謝料のことです。
しかし、通院機関や通院頻度等の治療の受け方によっては、この慰謝料の獲得において、大きく損をしてしまうこともあり得ます。
ここでは、交通事故で怪我をした場合に、どのようなポイントを踏まえて治療を受けるのが良いのかを詳しく説明します。
このコラムの目次
1.治療に関する注意点
(1) 事故直後すぐに治療を開始すること
まず交通事故に遭ってから、何日も経ってから初めて病院に行ったような場合には、本当にその交通事故によって怪我を負ったのか?と疑われてしまうことがあります。
すなわち、事故と怪我の「因果関係」を否定されてしまう可能性があるのです。
交通事故と怪我との因果関係を否定されてしまうと、治療費や入通院慰謝料を受け取れない可能性があるだけでなく、後遺障害等級認定(後述)にも影響が出ます。
ですから、交通事故に遭って怪我をしたら、できるだけすぐに病院へ行って、診察を受け、必要な検査も受けるようにしてください。
(2) 入院・通院の期間と頻度
まず、入院や通院をしたことによる精神的苦痛に対する慰謝料である「入通院慰謝料」ですが、この算出では上記のいずれの基準においても、通院期間や実通院日数が考慮されています。
例えば、弁護士基準を示している本である「赤い本」の中では、入通院慰謝料算定のための通院期間は、通院が長期にわたる場合には、症状・治療内容・通院頻度をふまえて、実通院日数の3倍程度を目安とされることもある旨の記述があります。
従いまして、実通院日数が極端に少ないと3倍程度を目安としたとしても、入通院慰謝料が極端に低額になってしまうケースがあります。
なお、通院の期間や通院の頻度は、以下で説明する後遺障害慰謝料に関係する後遺障害等級認定においても大きく影響してきます。
交通事故で怪我をした場合は、完治までの十分な期間の通院を心がけるということと共に、通院の頻度にも気を付ける必要があるのです。
できれば、週に2~3回程度通院するとよいでしょう。
(3) 後遺障害認定のための治療の受け方
怪我の治療には、「症状固定」という概念があります。
これは、医学上一般に承認された治療をそのまま継続してもその効果が期待できない状態で、かつ、残っている症状が自然的経過によって到達すると認められる最終の状態に達した状態を意味します。
簡単にまとめると、治療を受けてもこれ以上よくならないような状態になることです。
そして、症状固定時残っている症状のことを「後遺症」といいます。
交通事故の怪我が原因で後遺症が残った場合には、相手方に対して慰謝料(この場合の慰謝料を「後遺障害慰謝料」といいます)を請求することが出来ます。
ただし、後遺障害慰謝料を請求するためには、基本的には、自賠責保険の「後遺障害」として等級を認定(「後遺障害等級認定」)してもらう必要があります。
自賠責保険においては、後遺症の程度によって定められた「等級」ごとに慰謝料などの金額が決められることになっています。
等級認定では、自賠責損害調査事務所という機関が、中立的な立場で、その被害者の症状が賠償されるべき交通事故の後遺障害に当たるのか、どの程度の後遺障害に当たるのかを判断します。
後遺障害等級認定を受けるためには、通常、よくある「むち打ち」でも6カ月以上の通院期間が必要であると言われています。
忙しいなどを理由に、通院を怠ってしまうと、取り返しのつかないことになるケースもありますので、できる限り継続的、定期的に治療を続けなければなりません。
診断書(後遺障害診断書を含める)を作成できるのは医師だけですし、MRIなどのきちんとした検査も「病院」でなければできません。また、投薬などの治療行為も医師でなければできません。
したがって、まずは、整骨院や接骨院ではなく、病院(整形外科)へ行くことが重要です。
更に、整骨院や接骨院の施術費用は、相手方に無条件で請求できるわけではありません。整骨院や接骨院での治療については、相手方(保険会社)から、その必要性・相当性が争われることがあるのです。
一般的に、整骨院や接骨院での施術について施術費用の賠償が認められるためには、医師が必要と判断し、医師の指示に基づいて通院していたかどうかが争点となるでしょう。
(4) きちんとした検査を受ける
この後遺障害の等級認定は、後遺障害診断書や、レントゲン・MRI・CTなどの画像をもとに、審査が行われます。
よって、適正な後遺障害等級認定を受けるためには、しっかりとした検査結果があることが極めて重要です。
事故直後や症状固定の前など、適切な時期に、症状に合った適切な検査を受ける必要があるでしょう。
特に「むち打ち」は、MRI検査で異常が見られるかどうかが、後遺障害認定において重要になります。
検査に不足があれば、適正な後遺障害等級認定を受けられないこともあり得ます。
必要な検査が何かわからない、医師にどのようにお願いすればよいのかわからないなどの場合には、弁護士に相談してアドバイスを受けましょう。
(5) 適切な後遺障害診断書を作成してもらう
先ほど説明したように、後遺障害等級認定の申請には、医師が作成した後遺障害診断書が必要です。その内容によって認定の有無が左右されることもありますので、後遺障害診断書は極めて大事な書類です。
しかし、医師は、後遺障害等級認定の専門家というわけではありませんから、認定を受けやすいように考えて診断書を作成してくれるわけではないことが多いです。
ですから、被害者が自ら、適切な内容の診断書を作成してもらえるように医師に働きかける必要があります。
個人で医師と交渉するのは容易ではないことが多いので、その場合には、弁護士に依頼して代わりに話をしてもらうのも効果的です。
2.保険会社から治療費を打ち切られた場合の対処法
(1) 治療費の打ち切りとは
交通事故で怪我を負って通院をしている場合には、相手方の任意保険会社が、その治療費を直接医療機関に対して支払うという対応(一括対応)を行うことが多いです。
しかし、保険会社は、ある程度の期間が経過すると、治療費の支払いを打ち切る(一括払をやめる)と言ってくることがあります。
例えば、むち打ち症の場合には、3カ月程度で治療費の打ち切りを宣告されることも多いと言われています。
このようなときに、保険会社に言われるままに治療をやめてしまうと、必要な治療を受けることができなくなり、症状が良くならずに悪化するなどの問題が発生する場合があります。
また、先ほど説明した通院期間によって決まる入通院慰謝料の金額も下がってしまいますし、後遺障害等級認定を受けるのも難しくなります。
治療費、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料全てについて、必要な期間通院していれば得られたはずのものが得られなく可能性が出てくるのです。
(2) 対処方法
症状固定となるのがいつかを判断するのは、保険会社ではなく医師の判断が尊重されるべきです。
ですから、医師の判断として本当に必要な治療であれば、保険会社がどのように言っているかに関わらず、治療をやめる必要はありません。
まずは、医師がどのように判断しているのかが大事です。医師がまだ治療を継続する必要があると言っているのであれば、保険会社による治療費の支払いが停止されたために一旦立て替えて支払ったとしても、後から相手方(保険会社)に請求することができることがほとんどです。
したがって、医師が治療の必要性を認めている限りは、とりあえず自分で治療費を立て替えてでも、治療を継続しなければなりません。
なお、その場合には、窓口での自己負担を軽くするため健康保険を利用することをお勧めします。
3.慰謝料金額の基準
最後に、これまで説明した慰謝料金額の算定の基準には「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つがあります。
自賠責基準は、自賠責保険で定められた必要最低限の金額です。また、任意保険基準は、各任意保険会社が独自に定めたものであり、自賠責基準よりは高額となりますが弁護士基準には及ばない金額でしょう。
弁護士基準は、過去の判例などを基にした金額が定められており、3つの基準の中では最も高額です。自賠責基準と比べ数倍の差が生まれることもありますが、原則として弁護士に交渉を依頼した時にのみ適用される基準となります。
よって、弁護士に示談交渉を依頼するだけでも、受け取れる慰謝料金額が増額する可能性があるのです。
4.交通事故の治療でお困りなら泉総合法律事務所調布支店へ
これまでの話をまとめますと、交通事故の怪我で通院する場合に気を付ける点は、次のような点です。
- 交通事故後できるだけ早く治療を開始する
- まずは病院(整形外科)で診察を受ける
- 適切なタイミングで適切な検査を受ける
- 必要性がある限りできるだけ長く通院する
- できるだけ頻繁に、定期的に通院する
以上のようなポイントが守れるかどうかで、受け取れる損害賠償金額が大きく変わってくることがありますので、ぜひ覚えておいてください。
弁護士は、相手方への損害賠償請求だけではなく、治療の受け方などについてもアドバイスをしてくれます。
個々のケースによっても違ってきますので、交通事故の被害に遭って怪我をした場合には、早めに弁護士に相談することをおすすめします
調布市、三鷹市、府中市、稲城市、狛江市、川崎市多摩区、京王線沿線にお住まい、お勤めの方で、交通事故の被害者になってしまった方は、泉総合法律事務所調布支店にご相談ください。
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