交通事故

交通事故の休業損害-主婦の休業損害について

交通事故の休業損害-主婦の休業損害について

泉総合法律事務所調布支店では、現在、交通事故の法律相談を積極的に承っています。

泉総合法律事務所では、これまでに、数多くの交通事故の示談交渉、裁判事件を取り扱ってきており、専門のチームを組んでスピーディーかつ適正な損害賠償額の算定を行い、ほとんどの事案で裁判基準の8~9割前後の金額で示談するに至っております。

本日は、交通事故の損害賠償の重要項目の一つである休業損害、中でも、主婦の休業損害にスポットをあてて、お話をさせていただきます。

1.交通事故の休業損害とは

交通事故の休業損害とは、交通事故の被害者に生じた就業できなかったことによる収入の減少のことを言います。

休業損害は、通常、被害者が、加害者又は損害保険会社に対し、治療費や慰謝料等の損害賠償請求の一環として請求されます。

2.主婦にも休業損害が認められるのか

主婦は家事従事者であり、現金収入はありません。

しかし、交通事故の損害賠償実務においては、交通事故の負傷により、家事に従事できなかった期間について、休業損害を請求することができます。

3.一般的な交通事故の休業損害の算定方法

(1) 自賠責基準

自賠責保険による算定方法のことです。

1日あたり5700円として、これに入院日数や通院日数等の休業日数を乗じて算定されます。

なお、自賠責基準であっても、源泉徴収票、給与明細、確定申告書等の収入資料を提出することにより証明可能なときは、実際の基礎収入を基礎に算定されることもあります。

この場合の上限額は、1日あたり1万9000円です。

(2) 任意保険会社の基準

率直に言って、各損害保険会社により、まちまちです。

自賠責基準の5700円に休業日数を乗じた金額で提示してくることもあれば、現実の収入を基礎に算定し提示してくることもあります。

(3) 弁護士の提示、裁判基準の計算方法

現実の収入を基礎に算定を行います。

例えば、事故前3ケ月間の収入が150万円の方は、これを90日間で除して、

150万円 ÷ 90日 = 約1万6666円

この1日当たりの収入に休業日数を乗じて算定します。

通院により早退や遅刻した場合等、まる1日休業した場合でないケースでは、実際に、就業できなかった時間に1時間当たりの時給額を乗じて算定します。

なお、年次有給休暇をとって収入減がない場合でも、丸1日休暇を取った場合と同様、1日当たりの日額を請求することが可能です。

4.専業主婦の休業損害の算定方法

これは、大きく分けて二つの算定方法があると思われます。

主婦の場合も、損害保険会社が提示してくる場合は、上述した自賠責基準の単価である5700円に、入院・通院日数である休業日数を乗じた額をもって、提示してくることが多いです。

弁護士が算定する場合は、交通事故に遭遇した年の賃金センサス(日本の給料の統計資料)の女性の「学歴計・全年齢」の年収を365日で除した額を1日当たりの日額(たとえば、平成29年は、1万351円)として、これに、休業日数を乗じて行う方法があります。

1万0351円 × 休業日数 = 休業損害額

例えば、6カ月間通院して、その間の通院による休業日数が78日間であった場合は、

1万0351円 × 78日間 = 80万7378円

となります。

また、弁護士が行う場合には、交通事故による受傷後から症状固定までの期間を一定期間に分けて、その期間ごとの休業率を把握して計算する方法もあります。

これは、基本的に、被害者からの聞き取りに基づいて行います。具体的には、交通事故後の症状と、その症状が原因でどのような動作・作業に支障が生じたため、どのような主婦業に支障が生じ、よって、休業率は何%であるかを、期間ごとに陳述書にまとめて署名・押印して提出すると説得的な材料になります。

例えば、事故から症状固定までの期間が180日間のケースにおいては、

  • 最初の30日間は、100パーセント休業
  • 次の30日間は、80パーセント休業
  • その次の60日間は、60パーセント休業
  • その次の30日間は、40パーセント休業
  • 最後の30日間は、10パーセント休業

とする方法です。

これを、具体的な計算で行うと、仮に平成29年の単価を用いた場合は、

  • 最初の30日間
    1万0351円 × 30日間 × 100% = 31万0530円
  • 次の30日間
    1万0351円 × 30日間 × 80% = 24万8424円
  • その次の60日間
    1万0351円 × 60日間 × 60% = 37万2636円
  • その次の30日間
    1万0351円 × 30日間 × 40% = 12万4212円
  • 最後の30日間
    1万0351円 × 30日間 × 10% = 3万1053円
  • 合計 108万6855円

となります。

5.兼業主婦の休業損害の算定方法

主婦の皆様には、主婦業のみに専念している専業主婦もいれば、パート等の収入により、相当額の労働の対価を得ながら主婦業と両立させている兼業主婦の方もいます。

兼業主婦の場合には収入がありますので、実収入によるべきとの考え方もありますが、そうすると専業主婦の休業損害に比べ休業損害額が減ってしまい、不合理な結果となってしまいます。

このような場合には、専業主婦の場合と同様、賃金センサスを用いた方法で休業損害額を算定するのが、実務上、一般的に方法となっています。

6.解決事例の紹介

泉総合法律事務所で最近担当させていただいた事例を紹介させていただきます。

ご依頼者様を仮にAさんとします(なお、守秘義務及びプライバシー権配慮のため属性等の情報を適宜変更しております。)。

東京都にお住いのAさんは60代後半の女性です。5年前にご主人が病気のために要介護3の認定を受けており、日々、ご主人の世話をしながら生活しておりました。なお、車で約20分程度の場所に娘様ご夫婦が住んでおりました。

そのような中、Aさんは、早朝に、散歩をしていたところ、加害者の不注意で車にひかれてしまい、右脛骨の骨折、腰椎捻挫、頸椎捻挫で、症状固定までに、実に7か月間を要し、後遺障害の認定も14級が認められました。

本件については、当初より相手方に弁護士が付き、補償額についても、全般的にシビアな提示しかなされませんでした。

特に、主婦休損の単価も、賃金センサスでの計上ではあるものの、65歳~69歳の単価を用いるなど、当初より戦略的でした。このような単価の設定をされてしまうと、賠償額もその分減ってしまいます。

すなわち、仮に平成29年の数値で見ると、賃金センサスで「女性・学歴計・全年齢」の年収は377万8200円であるのに対し、「女性・学歴計・65歳~69歳」の年収を用いると304万1400円になります。

これを一日当たりの単価に直すと、前者が1万0351円であるのに対し、後者だと8332円となってしまいます。そうなると、日額にして、実に2019円の差が出てきます。

本件事案は、それ以外の点でも大きく争われたこともあり、交通事故紛争解決センターのあっせんに委ねることにしました。

同センターでは、あっせん委員の弁護士から、一定程度の減額をまぬかれないであろうとの判断がありました。そこで、本件依頼者の主婦業を具体的に説明し、比較的年配者ではあるものの全年齢平均の単価の90%である9315円程度が妥当である旨を説得的に主張していきました。

その結果、相手方弁護士の65~69歳の単価ではなく、当事務所の主張した9315円での単価が採用され、これをもとに賠償額が算定されました。また、それ以外の賠償項目、過失割合についても、当方にとり有利な判断がなされました。

結果的に、示談交渉の段階の相手方提示額よりも、200万円強の賠償額の増加を図ることができました。

依頼者にはとても喜んでいただくことができ、目出度く解決となりました。

7.まとめ

交通事故の損害賠償請求でお困りの方は、ぜひ、泉総合法律事務所にご来所され、無料の法律相談をお受けになってみてください。

交通事故の紛争解決に数多くの実績を持つ秀逸した弁護士が、ご相談者様のお悩み・疑問に的確に回答させていただきます。

受任後は、受任時と同じ弁護士が戦略的に示談交渉を行い、ご依頼者様にとりベストの解決ができるように徹底的にサポートをさせていただきます。

ご相談者様のご来所を心よりお待ちしております。

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