借金放置のリスク|債権者の債権回収の方法とは?
消費者金融やクレジットカードの借金など、返済を要求されているお金を期限までに支払わず、更に業者からの催促の連絡も無視し続けた場合、最終的にはどうなるのでしょうか?
「夜逃げをするしかなくなるの?」「逮捕されるのでは?」など、様々な不安を抱えている方がいらっしゃいます。
ここでは、借金を放置し続けると具体的にどうなるのかを、消費者金融などの「債権者」の債権回収の方法を通して説明します。
1.債権回収の手順
債権者(お金を貸している側)は、債務者からの返済が滞納すると、まずは書面や電話などで督促をしてきます。
初期段階で「○○日までに払います」と約束して、滞納分をしっかり支払えば、それ以上の問題に発展することはありません。
しかし、度重なる督促を無視し続けると、債権者は以下のような手順で債権の回収を図ります。
(1) 担保権を実行する(担保がある場合)
債権者は担保を取得している場合には、まずはその担保権を実行します。
個人の場合、担保権の典型は、住宅への抵当権・車の所有権留保などです。
住宅については、債権者から、「住宅ローンが返済できないなら、まずはその住宅を売却して借金の返済に充てて下さい」との任意売却の打診があるでしょう(もちろん、任意売却には住宅の所有者の承諾が必要です)。
しかし、仮にどうしても所有者が任意売却に承諾しない場合には、担保不動産競売といって、強制的に競売手続に進んでしまいます。
[参考記事]
マイホームを差し押さえられてしまっているときの個人再生手続
車の場合は、債権者から「自動車ローンが返済できないなら、車を引き揚げる」という連絡が入ることになるでしょう。
滞納を続けていると、車が引き揚げられてしまいます。
(2) サービサー等に債権を譲渡する
さて、上記で担保権を実行されたからといって、それで終わりではありません。通常、担保権を実行しても債務(借金)が残っているからです。
例えば、住宅ローンの残りが3,000万円、住宅の任意売却又は競売価格が2,000万円であった場合、差額の1,000万円は債務として残存します。
次に債権者は、この残額の回収にかかります。
もっとも、金融機関は、担保権を実行した後はほとんど回収が難しいと判断して、その債権をいわゆる「サービサー」などの、債権を回収することを専門にしている業者に譲渡します。
このために、「銀行のカードローンで借りたはずなのに、いつの間にか、『●●債権回収会社』という、聞いたこともない相手から請求書が来るようになった」という事態になります。
一般的には、サービサーなどへの債権譲渡により、取立は更に厳しくなります。
なぜなら、上記のようにサービサーは債権の「回収」を専門にしており、債権回収のノウハウがある他、債権の買取価額を上回って回収すればそれが利益になるため、躍起になるのです。
金融機関の場合は、通常、個人の自宅を訪問してくることはありません。
しかし、サービサーは、担当者が自宅に訪ねてくることが珍しくありません。
もちろん、自宅のドアを叩き、大声で「借金を返せ」などという行為は、法律で禁止されています。
しかし、常識的な時間の訪問自体は禁止されていないのです。
債務者から見ると、これはかなりのプレッシャーになるでしょう。
2.最終手段としての法的措置(強制執行)
度重なる督促を無視して、サービサー(債権回収会社)に譲渡された借金も返済されない場合に債権者が取る最終手段が、法的措置です。
具体的には、債権者は訴訟を提起し判決等を取得した上で、差し押さえ等の強制執行を行うことになります。
差し押さえの対象は様々ですが、一番怖いのは「給与の差し押さえ」です。
法律では給与の1/4しか差し押さえることができません。しかし、何より大きなダメージになるのは、会社宛に裁判所から「給与の1/4は、その従業員に支払ってはいけません」という内容の通知書が郵送される点です。
結果、給与が減った上に、会社に対する気まずさゆえに転職してしまうという方も珍しくありません。
もっとも、法的措置は裁判所を通す手続である以上、債権者にとって時間と費用が掛かります。
通常、債権者は、可能な限りその前段階で解決したいと思います。
訴訟の前段階で解決ができるよう、早急な対策が必要です。
弁護士に依頼をして債務整理を開始すれば、「受任通知」により債権者からの督促がストップする他、債務整理の方法によっては、給与差し押さえなども中止できる可能性があります。
なお、サービサーの電話連絡等に対するプレッシャーのあまり、迂闊に「支払います」と回答するのは、要注意です。なぜなら、最終の借入や返済から例えば5年以上経過しているような場合には債務が時効消滅している可能性があるからです。
ところが「支払います」などと回答してしまった場合には、その回答が時効を中断(リセット)させてしまったり、又は、今後は時効の主張ができなくなってしまったり、という結果を招いてしまう可能性があるためです。
この点も非常に重要ですので、ご自身で拙速に対応せず、弁護士に相談することをお勧め致します。
3.まとめ
「自宅も住民票を移していないし、勤務先も転々として知られていないから、何も債務整理などをする必要はない」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、仮に今はそのような状況でも、将来的に、例えば結婚して家庭を持ったような場合には、住民票などを旧住所のままにして債権者から逃げ回っているわけにはいかないでしょう。また、仮にご両親がお亡くなりになって不動産など相続財産が存在する場合、債務整理の方針選択や相続放棄手続とも関連して極めて複雑な様相を呈してしまいます。
借金、つまりお金の問題というのは、ほぼ確実に解決できる問題です。
躊躇する点などがあれば、なおのこと早目に専門家にご相談されることをお勧め致します。
泉総合法律事務所調布支店では、債務整理に長けた弁護士が在籍しています。
ご相談は何度でも無料ですので、調布市、三鷹市、府中市、稲城市、狛江市、川崎市多摩区、京王線沿線にお住まい、お勤めの方は、是非、お早目にご連絡・ご相談下さい。
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