むち打ちで後遺症が残ったら後遺障害等級認定を受けよう
交通事故でむち打ちの怪我を負ってしまう方は非常に多いといわれています。
多くの方は数ヶ月以内に回復されますが、症状が残ってしまい後遺症が残ることもあるのです。「軽い事故のむち打ち」だからといって、甘くみてはいけません。
今回は、むち打ちと後遺障害についてご説明します。
むち打ちの後遺症、後遺障害の認定、むち打ちで後遺障害認定をする際の注意点をご説明します。
このコラムの目次
1.むち打ちの後遺症とは
むち打ちとは、交通事故等の衝撃で首が大きくしなることにより、首の筋肉や神経などを損傷する怪我を指します。病院では、頸椎捻挫、頸部挫傷、外傷性頚部症候群と呼ばれることが多いでしょう。
症状としては、首の痛みや痺れなどが代表的ですが、腕や肩甲部にまで症状が広がることもあります。また、頭痛やめまい、吐き気などなどの症状に悩まされる方もいるでしょう。
非常にさまざまな症状が現れるむち打ちですが、「軽い怪我」と考えられている方が多いように感じます。
実際のところ、通常のむち打ちの治療の場合は、1ヶ月〜3ヶ月程度で完治すると言われています。
治療しているうちに痛みや痺れなどの症状が徐々に治っていき、日常生活に支障がないレベルまで回復する方が多いでしょう。
しかし、まれにこれ以上の期間治療を続けても症状が一向に良くならない、あるいは一定の回復はあったものの、症状が頑固に残り続けているというケースがあります。この場合は、後遺症が残っている可能性が十分にあるといえるでしょう。
したがって、「むち打ちは軽い怪我」と安易に考えるべきではありません。
なお、交通事故で一番多いとも言われている事故態様は追突事故ですが、この追突事故でむち打ちの怪我を負う方が非常に多くなっています。
2.後遺症が残ったら後遺障害等級認定
むち打ちの治療期間としては、6ヶ月を目安に医師から症状固定と診断されることが多いといわれています。
症状固定とは、これ以上医学的な治療を続けても、医学的に見て改善しない状態を指します。今後の治療方針としては、リハビリを続けていくことになるでしょう。
このように、むち打ちは6ヶ月以上通院を続けても完治しない場合、後遺症が残ったと考えるべきです。
むち打ちで後遺症が残ったら、後遺障害等級認定を受けることで補償額を大幅に増やすことができます。
(1) 後遺障害とは
交通事故で後遺症が残ってしまった方は、後遺障害等級認定を受けることで、認定の受けられない場合に比べて、手厚い保障を受けることができます。
後遺障害等級認定とは、交通事故で後遺症が残った場合に被害者に当該制度が認定する等級を付与することで、後遺障害慰謝料や逸失利益の補償を認める制度です。
交通事故の後遺症を後遺障害等級認定の審査にて後遺障害として認定することで、画一的かつ公平に交通事故の被害者を救済しています。
後遺障害等級認定を受けるためには、申請することが必要です。被害者が何もせずとも補償が受け取れる制度ではないということを理解しておきましょう。
申請をして、1級から14級までのいずれかの等級が付与されることにより、初めて後遺障害慰謝料と逸失利益の補償を受けることが可能となります。
必ず認定されるとは限らないため、申請内容によっては「非該当」という等級が付与されない結果を受け取ることもあります。この場合は、後遺障害に関する補償を受け取ることはできなくなってしまいますので、きちんと準備をして申請を進めるべきです。
[参考記事]
後遺障害等級認定を受けると慰謝料はどれくらい変わるのか?
(2) むち打ちの後遺障害の申請方法
むち打ちで認定される可能性がある等級は、12級13号か14級9号です。
申請方法としては、事前認定と被害者請求という2通りのパターンがあります。
事前認定は、加害者側の任意保険会社が後遺障害等級認定の申請を代理してくれる方法です。最近では、多くの被害者が一括払いという治療費を任意保険会社が直接病院に支払ってくれる制度を利用しており、後遺障害に関しても同様に任意保険会社に任せる方法をとる方が増えています。
ご自身で申請をしなくても済むため、手続きの手間が掛からず楽といえますが、他方で申請内容を確認しないまま手続きが進んでしまうため、非該当や希望等級が得られないという結果になった場合に、納得できないというデメリットがあります。また、不利益な医学的な意書等が添付されている可能性もあり得ます。
被害者請求は、被害者ご自身で後遺障害等級認定の手続きをする申請方法です。慣れない申請をご自身で行うことから手続きは面倒ですが、ご自身で手続きを最後まで見届けることができるため、納得いく申請ができます。
後遺障害等級認定では、等級によって大幅に慰謝料額が変動するため、ご自身で書類を確認できる点は大きなメリットといえます。
[参考記事]
むち打ちの慰謝料相場|弁護士依頼で正当な後遺障害認定を
3.むち打ちで後遺障害認定をする際の注意点
最後に、むち打ちで後遺障害認定手続きを行う際の注意点をご説明します。
(1) 定期的・継続的に通院する
むち打ちに限らず、症状が軽くなったら病院に通うのをやめてしまうというケースがありますが、これは後の後遺障害認定に悪影響を及ぼす可能性があります。
むち打ちの後遺障害認定では、画像所見などからはっきりと原因からわからないことも多いため、一貫した症状があることや治療を継続していたことが重要です。
そのため、一定のペースで治療を受け続けることが必要です。
具体的には週に2~3回程度、月10回は病院に通うようにしてください。「忙しい」という理由で病院に行かなかった事情は、後遺障害等級認定を含む損害賠償請求の際には考慮されません。
(2) 必要な検査を受ける
また、必要な検査を受けることも大切です。
レントゲンや CT、MRIなどの画像等の他覚所見にて、痛みや痺れの原因がどこにあるのかを、はっきり確認することができれば、等級獲得の可能性は大きくなります。そして検査結果をもとに、自覚症状、画像所見に関する医学的考察を後遺障害診断書に書いてもらう必要があります。
等級獲得に必要な検査結果がなかったり、医師の診断書の内容が不十分というケースもあるため、後遺障害等級認定に慣れた弁護士にアドバイスをもらうことも大切です。
(3) 被害者請求で適正な額の慰謝料を獲得
後遺症が残ってしまったら、将来への影響も考えてできる限りの補償は受け取っておくべきです。
後遺障害が残ったことに対する賠償額を増額させるためには、先述の通り被害者請求で申請する方法が有効です。
被害者請求の場合、自分で請求する手間がかかるというデメリットがあります。しかし、多くの方は弁護士に依頼することでこのデメリットを乗り越えています。
弁護士に依頼すれば、面倒な手続きから解放されるだけでなく、希望等級獲得に向けた入念な準備もできます。
後遺障害等級認定は完全なる書類審査であるため、専門知識と経験に基づいた準備が非常に重要です。
また、弁護士に依頼することで、弁護士基準という慰謝料算定基準を採用することができるため、慰謝料が大幅に上がる可能性があります。
さらに、被害者請求で申請を行えば、加害者側との示談成立前でも後遺障害に関する補償を先に受け取ることができるというメリットもあります。
リハビリでお金がかかる場合も、後遺障害の補償を充てることができるのです。
このように、継続通院や必要な検査を受けること、被害者請求を弁護士のサポートのもとで行うことにより、適切な補償を受け取ることが可能となります。
[参考記事]
調布市でむち打ち症に。交通事故被害者は弁護士に相談すべき?
4.むち打ちの後遺障害認定は弁護士に相談を
むち打ちの場合、後遺障害の認定が難しいことがあります。レントゲンなどの画像所見から症状の原因が分かる場合は良いのですが、自覚症状のみの場合は非該当という結果が出る可能性も否定できません。
適切な等級獲得を目指すなら、弁護士のサポートを受けることをお勧めします。
弁護士に申請を任せることで、より多い補償を受け取ることができるでしょう。
むち打ちになってしまった方、症状固定と診断された方は、泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
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